ママと、生まれてくる赤ちゃんの健康を守るために

妊娠中には、お母さん自身の体を守るため、そして生まれてくる赤ちゃんに免疫(病気と戦う力)をあげるために、いくつかのワクチン接種が推奨されています。 特に、赤ちゃんが自分でワクチンを打てるようになる(生後2ヶ月頃)までの「免疫の空白期間」を埋めることができるのは、お母さんからのプレゼントである「母子免疫」だけです。

当院で推奨しているワクチンについてご案内します。

RSウイルスワクチン(アブリスボ)

RSウイルスは、ほぼすべてのお子さんが2歳までに感染する非常に身近なウイルスです。しかし、生後間もない赤ちゃんが初めて感染すると重症化しやすく、肺炎や細気管支炎などの合併症を引き起こし、入院が必要になることも少なくありません。 2024年に承認された新しいワクチン「アブリスボ」を妊娠中に接種することで、お母さんの体で作られた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行し、最低生後約6ヶ月間、赤ちゃんをRSウイルスから守ることができます。

  • 接種推奨時期: 妊娠28週〜36週
    ※抗体を十分に移行させるため、妊娠28週〜36週の接種が特に推奨されています。
  • 期待できる効果: 生後すぐの赤ちゃんが入院を要するような重度のRSウイルス感染症になるリスクを大幅に減らします。

百日咳(ひゃくにちぜき)ワクチン

百日咳は、激しい咳が長期間続く感染症です。大人がかかると軽い咳で済みますが、免疫のない新生児がかかると重症化し、無呼吸発作などを引き起こして命に関わることがあります。 妊娠後期に「百日咳を含むワクチン(三種混合など)」を接種することで、赤ちゃんが定期接種(生後2ヶ月〜)を開始するまでの無防備な期間を守ることができます。

  • 接種推奨時期: 妊娠27週〜36週頃(妊娠後期)
  • ワクチンの種類: 一般的に三種混合ワクチン(DPT)などを使用します。詳細は医師にご相談ください。

風疹(ふうしん)ワクチンについて

風疹(三日はしか)は、妊娠初期の妊婦さんが感染すると、赤ちゃんに難聴や心疾患、白内障などの障害(先天性風疹症候群)が出る可能性があります。 風疹ワクチンは生ワクチンのため、妊娠中は接種することができません。 しかし、以下の対策が非常に重要です。

  • 抗体検査を受ける: 妊婦健診の初期検査で、ご自身の風疹抗体価(免疫の量)を確認します。
  • 抗体が低い場合: 妊娠中は人混みを避け、感染予防に努めてください。そして、出産後(産褥期)に速やかにワクチン接種を行うことを強く推奨します(次の妊娠に備えるため)。
  • ご家族の接種: パートナーや同居のご家族が風疹を持ち込まないよう、ご家族の方も抗体検査やワクチン接種をご検討ください。

インフルエンザワクチン

妊娠中は免疫力が変化しており、インフルエンザにかかると重症化しやすい傾向があります。また、母体が抗体を持つことで、生後すぐの赤ちゃんをインフルエンザから守る効果も期待できます。 妊娠週数に関わらず、流行シーズンには接種が推奨されます。

HPVワクチン

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によるものが大半です。特に2つのタイプ(HPV16型と18型)への感染を予防するのがHPVワクチンです。

ご予約・ご相談について

各ワクチンの接種をご希望の方、または接種すべきか迷われている方は、妊婦健診の際にお気軽に医師・スタッフまでご相談ください。 母子手帳をお持ちの上、ご来院をお願いいたします。

  • 費用について: 一部のワクチンは自費診療(任意接種)となります。受付までお問い合わせください。
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